2009年11月02日

一応F1アブダビGP決勝の話をちょっとだけ。

本当にちょっとだけ。

レースとしてはそこそこ面白かったけど、やはりマクラーレン・ハミルトンのリタイアは残念だった。クラッシュとかなら自業自得だけど、右リアブレーキのトラブルだからなぁ。
スタート直後からおかしいとは思ってたんだ。第2セクタでは後続のレッドブル・ベッテルに対して0.5秒ほども突き放しながら第3セクタでそのマージンをすっかり吐き出してなかなか引き離せない。予選までとは別のマシンのようだった。マクラーレンは、第3セクタのトラクションは予選まではトップクラスだっただけに妙な感じがしていたんだ。
でも、レース距離分のガソリン搭載時の特性かも知れない…と思ってたらやっぱりトラブル。無線でも

「(ハミルトンに対して)済まない、レース続行は不可能だ。ピットにマシンを納めてレースを終わりにしてくれ」

と、決して英語に強くない(というか弱い)俺でも川井ちゃんの翻訳を待たずに聞き取れた。彼らはネイティブスピーカーだから、英語が流暢すぎて普段の無線はほとんど聞き取れないが、その無線ははっきり解った。マシンの仕上がりが抜群だっただけに、よほど落胆して口調がゆっくりになっていたんだろう。
優勝したベッテルがレース後に言っていたように、ハミルトンのマシンが最後まで健在ならもっと面白いレースになっていただろう。それだけに実に残念だが、「これもレース」。

今季は「新2強」で始まって「3強」で終わったシーズン。色々と薄暗いドロドロしたコース外の「勝負」が多くて辟易したのも事実で、来季はもう少し「スポーツ」らしくなって欲しいものだ。

締めに、やはり小林可夢偉くんの話をしておかなければウソだろう。
参戦2戦目でポイント獲得、しかも現状望みうる最高のドライビングを見せてくれた事を否定する人はいないだろう。
可夢偉くんが凄いと感じたのは、与えられたチャンスを確実にモノにして自分をしっかりとアピールしきった事。これは、これまでの日本人ドライバーには出来なかった事だ。
日本人ドライバーは、概して新しいカテゴリ・マシンやコースに適応するのに時間がかかる。これがこれまで誰一人としてF1で「成功した」とは言えない一因だった。(日本人としては最も実績ある佐藤琢磨くんも例外ではない。)
しかし可夢偉くんにはその「弱点」が今のところ見られない。
(アブダビのコースは初開催で全員初めてという点で可夢偉くんにプラスになったという見方もあるだろうが、F1で生き残れるドライバーは初コースなど数周で特性を掴んでしまうので、ここでは考慮に入れない事とする。)

可夢偉くんがいくらトヨタの育成ドライバーと言っても、TF109のドライブ経験はほとんど無い。この2戦もグロックの負傷によって「降って湧いた」参戦であり、ルノーのグロージャンやトロ・ロッソのアルグエルスアリと同じかそれ以上に厳しい条件だ。どちらかと言えば(成績不振で2戦で降ろされた)フェラーリのバドエルに近い条件かも知れない。
今季のレギュレーションは中途参戦の新人(とブランクのあるドライバー)には厳しいもので、彼らも散々苦戦している。そんな中で可夢偉くんは飛び抜けて見えた。言い過ぎかも知れないが、レンタル移籍でBMWからデビューした頃のベッテルを思い起こさせられた。

ただ。
可夢偉くんはまだ「通常のレース」を1回もしていないのもまた事実だ。デビュー戦はヘビーウェットレース、今回は事実上のナイトレースと、いずれもイレギュラーなコンディション。
特に今回は、川井ちゃんが「ネガティブデグラデーション(タイヤのグリップ力低下より路面のグリップ力向上が勝っていて周回を重ねるほど速くなる状態)」と表現した路面状態で、タイヤのケアは比較的楽な状態にあった。事実、ほとんどのドライバーが終盤までタイムを更新し続けていた。
可夢偉くんも例外ではなく、ファイナルラップで自己ベストを出していた。だから、少なくとも「タイヤを痛めるほど乱暴ではない」とは言えるが、この1戦だけで全てを判断するのは早計だろう。

だからだ、彼の真価(進化)を是非見せてもらいたい。そのためにも、来季のグリッドに彼が着いている事を願いたい。

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posted by 環螢 at 18:44 | F1その他レース関連