2016年12月29日

さらば勇士よ、ありがとう。

今日、製図試験のために借り受けて使用していた製図板(平行定規)が、所有者の元へ返却されていきました。

その製図板、それを使って建築士試験を受けた人は誰一人落ちていないという縁起物で、大きくて重たいお守りでした。

機種はムトウのライナーボードUM-06N2。現行型はUM-06N7ですから、いかに古い代物であるかがわかるかと思います。(もっとも、他社(特にMAX)に比べて大きくて重たいという欠点は、最新型でも解消されていませんが…。)
機能的にもいささか時代遅れで、MAXの平行定規に備わっている、定規を使わない時は裏側に回して固定出来るといったようなギミック(これは羨ましかった…)なども一切備わっておらず、傾斜角の調整も出来ないシンプルなものです。ゴム足なんかも接着剤でくっつけてあるだけのもので、初めてケースから取り出す時に緩衝材に引っかけて取れちゃって(汗)、大騒ぎでゴム系接着剤で再接着するという衝撃の出会いで(苦笑)、まぁ高価な割にちゃちな作りだねぇと半ば呆れたのもいい思い出です。

それでも僕が最後まで使い続けたのは、新しい平行定規を買う金がなかったそのゲンに賭けたこと(根がゲン担ぎぃなので(汗))、そして扱いに慣れれば別に何の問題もなかったということからです。重たいのは辛かったし、大きいので、折角買った市販のソフトケースに微妙に入りきらなかったのも冷や汗ものでしたが(まぁ何とかしましたけど)。

※というか本来、こんな古いものを使うことは、色々な意味でお奨め出来ません。僕の場合、講師の先生の影響と作図速度の遅さから渋々フリーハンド派にならざるを得なかったこともあって平行定規部分を使うことがあまりなく、その意味で色々とラックに恵まれたようですが、平行定規は割と精密機器なので、本番の試験会場で壊してゲームオーバーという事態もかなり起こっているようです。皆さんは出来るだけ新品を買いましょう。そしてメンテしましょう。

…とまぁ随分と貶した感もありますが(汗)、結局機構の不具合なども最後まで一切起こすことなく製図試験を共に戦い抜き、合格に導いてくれた「歴戦の勇士」に、ありがとう。


で。
僕が理由はどうあれフリーハンド派であることは上述した通りですが、では何故平行定規(というか製図板)を使い、試験会場にまで持ち込んだのか?もちろん理由があります。単なるゲン担ぎではありません。

フリハンの場合、平行定規は使いませんが、当然というか製図板は使います。もちろん平たい場所さえあれば直に机やテーブルの上などでも出来るんですが、環境が一定しないというのは落ち着きません。凸凹もあるかも知れないし、机等の素材によって書き味が違うのは気持ち悪い。安定した一定の作図環境として、製図板はやはり必要なんです。トレイが付いているので、シャーペンや消しゴムを始めとした製図用具類のホームポジションとしても有効ですし。

そして、試験会場はいわば「敵地」です。敵がどんな机を用意しているかもわからないというのは不安ですし、コンディションが悪ければ普段のリズムを乱す原因にもなりかねません。
だからこそ、普段使って慣れ親しんでいる製図板という「ホームの環境」を切り出して持ち込む訳です。それだけでも安心感が随分違います。いつも通りのトレイも付いてきますしね(笑)。
(この事は、別にフリハン派でなくとも意識して欲しいところです。自分がホームの環境を持ち込んでいるんだという意識があれば、幾ばくかのプレッシャー軽減になりますので。)

もう一つの理由として、「不用意な注目を集めない」という事があります。
これは資格学校で角番※の先輩から聞いた体験談なんですが、いくらフリハンだからと言って製図板も持たずに試験会場に乗り込むと、周りの受験生も試験官も異常に注目するそうで、その方は去年それをやって試験開始から終了までずーーーーっと試験官に奇異の目で注目されていてもの凄い不快感だったそうです。その結果、今年も初年度の僕らと一緒に勉強することになった訳ですが(汗)。
(ちなみにその方、今年合格されました。おめでとうございます!)
なので、とりあえず「珍しい」事はせず、周りと同じく製図板を持ち込めば、変な注目をされることは避けられます。最初さえかわせばしめたもの、試験中に用紙をぐるぐる回していても、試験官は見ているかも知れませんが、周りは自分の事で手一杯、自分もそうなので試験官の目なんか気にする余裕などありません(苦笑)。

※角番:試験用語で、建築士試験の場合「学科試験免除最終年の受験生」を指します。
一級建築士試験の場合、学科合格の年は当然設計製図試験が受験出来ますが、仮にそれに落ちた場合でも、向こう2年は学科試験が免除され、いきなり設計製図試験から受験できます。しかしその最終年も落ちると、学科試験免除の権利を失い、再び学科試験を受けて合格しないと設計製図試験を受けることが出来なくなります(もちろん学科試験に合格すれば再びその年の設計製図受験権利と向こう2年の学科試験免除の権利が与えられます)。
要は設計製図試験3回目(6回目とかそれ以上の人もいますが…)の受験生は「『学科試験再受験に陥落』の危険」がある訳で、相撲用語の角番になぞらえてこう呼ばれている訳です。

そんな感じでしょうかね。
あぁ、なお、フリハンだからと言って定規類を一切使わないという事はありません。柱形や円はテンプレートを使って書きますし、特に長い横線は直定規を使って引きます。寸法線もそうです。全てをフリハンで書くのはよほどの熟練者でないと無理で、僕みたいな「にわか」は定規やテンプレが絶対に必要ですし、その方が絶対に速い。
フリハンの利点というのは、長い縦線や短い線を、定規を当てる時間を省略して引けること、それと紙を固定する必要がないので、文字などを書きやすい角度に回して書けるといったくらいで、仕上がりはどう見ても平行定規を始めとした定規を使ってきっちり書いた方が圧倒的に綺麗ですし、時間内にそれが出来る人はやる必要は全くないものです。
ただし、上述したように平行定規の故障はあり得ますので、その時の緊急対策として練習しておくのはありだと思います。フリハンと言うのは、練習無しでいきなりやるのは不可能に近いですから。あれはあれでそれなりのコツがありますのでね。

…余談のほうが長くなりました。ご勘弁。


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posted by 環螢 at 23:54 | TrackBack(0) | 雑記
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